△7二銀型の横歩取り青野流の受け方

上図は、横歩取り青野流からの進展で△7七同飛成と金を取った局面。ソフトの評価値+425で先手有利。

横歩取りのような激しい将棋はある程度1本道みたいなところがあり、ちょっと疑問手を指せば一気に悪くなることがある戦いになりやすいです。

たまにこの戦型を指すと、自分で考えるというよりもこのような手だったかなと思い出しながら指すこともあり、つい形だけで指してしまうということがあります。

この形は後手が△7二銀型になってから、7七の地点で角と金桂の交換になりました。

△7二銀型をあまり見たことがなかったので、△7一銀型と何が違うのかあまり理解せずに指していました。

実戦は▲6八角△7五龍▲8二飛成△2四金▲9一龍△8七桂で、ソフトの評価値-211で互角。

この手順の▲6八角ですが、たしかこのような手があったなと理解した程度で、これ以外は全く考えてなかったです。

特に先手玉の近くに龍がいて、守り駒がやや少ない状態では駒を埋めて少しでも玉を固めたいという気持ちになります。

▲6八角に△7五龍▲8二飛成△2四金に▲9一龍として角香と金桂の交換で少し駒損を回復したと思っていました。

ただし、△8七桂と打たれて先手が少し受けづらいなと気がつきました。

△8七桂に▲5六歩と突いたのが悪く、ソフトの評価値-937で後手優勢。

▲5六歩には△7九桂成▲2四角△2五金▲5七角△7八龍▲6八金△8九龍のような展開で先手が悪かったようです。

▲5六歩では▲8八銀と辛抱すべきでした。

▲8八銀に△7八龍なら▲8七銀△同龍▲9六角で、ソフトの評価値-159で互角。

▲8八銀に△9九桂成なら▲2二と△3一歩▲同と△同銀▲9九銀で、ソフトの評価値-190で互角。

これらの両方の手順を見ても決して簡単でなく、まだ先手は手を尽くせばそれなりに戦えていました。

このような戦型は盤面全体に特に手が見えるかどうかが大きく、いつも同じような戦型ばかり指していると感覚がついていかないことがあります。

自分も最近この戦型を指す機会が少なかったので、あまり手が見えていませんでした。

▲6八角では▲6八銀がありました。ソフトの評価値+393で先手有利。

この手順は▲6八銀と金駒で龍をはじく手で、このような手もあったなという感じです。

横歩取りの本で見たときは細かい形の違いまでは理解しておりませんが、▲6八銀か▲6八角だったと記憶しています。

▲6八銀以下△7五龍▲8二飛成△2四金▲2二と△9二金▲8九龍△8八歩▲5九龍△2七桂▲3二と△1九桂成▲3七桂で、ソフトの評価値+1224で先手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、△7二銀型には▲8二飛成とすることが可能になります。

△7一銀型の場合は△8二歩と受けて飛車成りを受けることが多いのですが、△7二銀型は▲8二飛成が大駒のから成りなので、攻めの効果は少し落ちます。

△2四金と手を戻したときに▲2二とでと金を引いて活用するのも読みから少し抜け落ちていました。

2二のと金は▲1一ととかそのまま活用するということを意識していたのですが、▲2二とと引いて使うのは本来の駒の活用からすれば自然だったようです。

▲2二とには次に▲3二との狙いですが、△3一歩と受けても▲同と△同銀▲6六角の切り返しがあります。

▲6六角に△2五龍としても▲3三角成△2九龍▲4四角△同歩▲4三角以下後手玉は寄り筋です。

△9二金はやや受けすぎなような気もしますが、実戦的にはこれもありそうで、▲8九龍に△8八歩▲5九龍で後手は手がなくなってきます。

以下△2七桂には▲3二とが味がよく、△1九桂成には▲3七桂と逃げて先手優勢です。

うまくいきすぎの手順なのであまり参考にはならないかもしれませんが、△2七桂に▲2八銀△1九桂成▲同銀のような手を選択せずに▲3二とと指すのがスマートなようです。

△7二銀型の横歩取り青野流の受け方が参考になった1局でした。

細い攻めから大駒を活用する

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6五銀と歩を取った局面。ソフトの評価値+971で先手優勢。

駒割りは桂馬と香車の交換でほぼ互角ですが、先手は玉の堅さが活きる展開で先手優勢のようです。

自分の将棋は終局後にソフトで検討しているのですが、中盤でかなり優勢になってもそこから疑問手を重ねて気がつけば互角になっていたということが多いです。

優勢の局面はうまくいけば勝勢になるのですが、戦いが振り出しに戻るのはもったいないです。

中盤で精度の悪い手は大きく評価値が下がりやすいので、このあたりの手の見え方は大事です。

実戦は▲7四桂△同銀▲同歩△同金▲6三歩△同金▲5二桂成で、ソフトの評価値+454で先手有利。

この手順は▲7四桂と両取りに打つ手で以下▲5二桂成ともたれる指し方です。

もともと先手は大駒があまり働いていないのでどうしても細い攻めになるのですが、銀と桂馬の交換で先手歩切れでどうかという形です。

後手も上部は手厚いので先手も手を作るのが大変です。

▲7四桂では▲6六歩がありました。

▲6六歩△5四銀▲7四桂で、ソフトの評価値+959で先手優勢。

この手順は▲6六歩と打って△5四銀に▲7四桂と両取りに打つ形です。

実戦と似たような形ではあるのですが、大きく違うのは部分的には金と桂馬の交換になるということです。

一般的に銀より金の方が価値が高いことが多く、手の可能性が広がるようです。

ただし6四の桂馬が後で取られそうな形なので、最終的には金と桂桂の交換になりそうです。

しかも先手は歩切れなので、▲7四桂以下がどうなのかが気になります。

▲7四桂以下△7一玉▲6二桂成△同玉▲2六歩△6四金▲2五歩△5一角▲5六歩で、ソフトの評価値+976で先手優勢。

この手順は先手にとってかなり力のいる指し方になります。

具体的には駒が相手の陣地に入っているわけでなく、大駒もまだそんなに働いていないので手を作るのが結構難しいです。

ソフトの先手優勢になっていますが、後手は中央が手厚いので先手はどのようにして手を繋げていくかになります。

金と桂馬を交換してから▲2六歩が地味な手ですが、△同歩なら▲同角で角が働いてきます。

よって後手は△6四金と桂馬を取りましたが、▲2五歩に後手の角のいく場所が難しいです。

先手の持ち駒に金があるので△3三角や△4二角は▲3二金があります。

また▲2五歩に△1三角は▲1二金△7九角成▲2一金△6九馬▲2六角で、ソフトの評価値+1036で先手優勢。

よって▲2五歩に後手は△5一角と引きます。

次の▲5六歩が筋といえば筋の手で、△同歩は▲6四角がありますので後手は受けに回ります。

▲5六歩以下△5二玉▲5五歩△4三銀▲4六歩△5三歩▲5八飛△6三歩▲4五歩△同銀▲5四歩△同歩▲4四歩△同銀▲6四角△同歩▲4六歩△同銀▲5四飛△5三銀▲4四金で、ソフトの評価値+2353で先手勝勢。

この手順の興味深いのは▲5五歩に△4三銀と引く形で、▲5五歩に何で取っても▲5六歩で後手はもちません。

よって△4三銀と引くのですが、次に▲4六歩と歩をぶつけます。

先手は歩の数が少ないので歩をぶつけて持ち駒を増やしたいのと、角がいまひとつ働いていないので角の活用を目指します。

後手は△5三歩~△6三歩と受けましたが、先手は穴熊で攻め合いにはならないので受けに回るのは仕方なさそうです。

先手は飛車が1筋にいても仕方ないいので、戦いの争点になりそうな5筋に回ります。

数手前までは大駒があまり働いてなかったのですが、これで働く形になりました。

以下先手は歩を使って相手の金駒の配置を変えて、角と金の交換から▲5四飛と飛車を活用する展開でこれで先手勝勢のようです。

大駒と歩の小技で攻めを繋ぐのがうまいです。

一気につぶそうとする攻めでは途切れてしまいますので、少しずつ駒を活用するというのが大事なようです。

細い攻めから大駒を活用するのが参考になった1局でした。

金駒を玉頭戦に据える

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6二金と引いた局面。ソフトの評価値+1273で先手優勢。

先手が▲6四歩と打った手に6三の金が△6二金と引いた形です。

対局中は少し先手が指しやすいと思っていましたが、形勢はだいぶよかったようです。

駒割りは角香と飛車の交換で先手が少し駒得していますが、後手は6筋に厚みがあり3七の龍も先手陣を睨んでいるので油断できません。

先手は2枚の馬をどのように活用するかとか、後手陣のどこに手をつけるかなどで指し手の方針が分かれるようです。

実戦は▲5三馬△同金▲7五歩△4八角で、ソフトの評価値+491で先手有利。

この手順の▲5三馬は後手から△5六銀という手を気にしていたのですが、▲5三馬△同金▲5六金で大したことがなかったのです。

後手の遊んでいる飛車と働いている馬の交換は後手にとって大きなポイントで、▲7五歩で後手の桂馬が取られる形ですが、この瞬間に△4八角が厳しかったです。

盤上の角が相手の持ち駒になってその角で自陣を攻められるという展開で、これでだいぶ形勢が接近したようです。

7四の桂馬を取り切るまでに時間がかかるのと、後手の龍と角と銀の圧力が結構強いでです。

▲5三馬では▲6三香がありました。

▲6三香△7六銀▲5三馬△同金▲6一香成△同銀▲7五金で、ソフトの評価値+978で先手優勢。

この手順は▲6三香と打つ手ですが、対局中は少し考えていたのですが断念しました。

▲6三香には△同銀▲同歩成△同金で次の手が難しいと思ったからですが、▲7五桂と打って先手十分だったようです。

▲7五桂は次に▲6四歩△6二金引▲5三馬△同金▲6三歩成が狙いです。

▲7五桂の後に▲6四歩という手の組み合わせが浮かばなかったので、これは自分の実力であり仕方ないです。

▲6三香に△同銀は甘いようで△7六銀がソフトの推奨手でした。

△7六銀は先手の玉頭に迫る金駒なので、プレッシャーがかかります。

△7六銀に▲5三馬~▲6一香成で、部分的には飛金と角香の交換で先手が大きく駒得していますが、玉頭に銀がいるのと香車が相手の持ち駒になったので△8四香のような狙いが生じます。

後手の7六の銀が働きのいい駒なので、先手は▲7五金と打って攻め駒を責めるという手になります。

▲7五金以下△6七歩成▲同金△同銀成▲同銀△3三歩▲4一飛△6二金▲6三銀△5七角▲6二銀成△同銀▲6一飛成△7一銀打▲7二歩で、ソフトの評価値+2468で先手勝勢。

この手順は▲7五金は玉頭戦は上部を手厚くするのが基本なので、金駒を中央に打ちます。

後手は6七の地点で清算して△3三歩と先手の馬の利きを止めます。

次に△6六歩とか△5七角とかが回ると先手も忙しいのですが、この瞬間に▲4一飛と打って攻めます。

▲4一飛に△5二角と打てば飛車当たりの受けになりますが、▲4二飛成△4三金▲5一龍ともぐって先手がいいようです。

よって後手は△6二金と1枚金駒を使ったのですが、▲6三銀とその金駒を攻めます。

相手の守り駒である金を攻めるのがよくある手で、金がいるとそれなりに相手玉は堅いのですが、金がいないとだいぶすかすかになるという印象です。

このあたりは先手は相手の守り駒を1枚ずつ攻めて薄くしていく感じです。

このような展開になると7五の金が攻防に利いているので、盤上にあるだけで厚みが違ってきます。

これらの手順をみても先手はどこかで踏み込んで指さないといけないのですが、どのタイミングで踏み込むかが毎回難しいです。

金駒を玉頭戦に据えるのが参考になった1局でした。

厳しい寄せで即詰みにする

上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲5八同金引とと金を取った局面。ソフトの評価値-99978で後手勝勢。

ここで後手の手番で先手玉に即詰みがあったようですが、対局中は全く気がついていませんでした。

実戦は△3五桂で、ソフトの評価値-2796で後手勝勢。

この手順は△3五桂と打って次に△4七銀からの詰めろのつもりでした。

△3五桂の瞬間は、後手玉に▲3一銀は△同玉でも△1三玉でも即詰みはありません。

△3五桂には▲4八飛と打って受ける手がありこれで先手玉は即詰みがないのですが、飛車を自陣の受けに使うことで後手玉が安全になります。

そのような意味で△3五桂でも問題なかったのですが、後手玉に即詰みがあったら敗着になるような手です。

やはり即詰みがある場合はできるだけ詰ますようにして、最短で詰ます習慣を身につけたいです。

△3五桂では△4七銀がありました。

△4七銀▲同金△4九龍▲同玉△5八金で、ソフトの評価値-99980で後手勝勢。

この手順は△4七銀と捨てる手ですが、▲同玉なら△4九龍▲4八金打△3八角▲5七玉△5六角右成▲6八玉△7八金まで詰みです。

よって△4七銀には▲同玉とするのですが、△4九龍~△5八金が鋭いです。

ぱっと見では少し金駒が足らないようにも見えますが、これが短時間で指せるなら強いです。

△5八金に▲3八玉なら△4九角▲3九玉△3八金まで詰みです。

△5八金に▲3九玉なら△5七角で▲同金なら△4八金打まで詰みです。

△5七角に▲4八金打も△4九金打▲3八玉△4八金引▲同金△同角成まで詰みです。

よって△5八金には▲同玉とします。

△5八金以下▲同玉△6九角打▲4八玉△4七角成▲同玉△6九角成で、ソフトの評価値-99989で後手勝勢。

この手順の△6九角に▲6八玉なら△7六桂▲7七玉△8六金まで詰みです。

△6九角に▲4九玉なら△6七角成▲3九玉△4九金▲3八玉△4七角成▲同玉△5七金▲3六玉△5八馬まで詰みです。

よって△6九角には▲4八玉としますが、△4七角成▲同玉に△6九角成がうっかりしやすい王手です。

自分は盤上の大駒を動かして王手するというのがあまり見えないことが多く、これは詰将棋でも一緒です。

大駒は小駒と違って動きが大きいので活用すると攻めの戦力が増すのですが、自分の場合はつい持ち駒を使うことに目がいくことが多く、それで攻めが途中で途切れることがあります。

例えば△6九角成で△3五桂と打つと、▲5八玉△4七金▲6八玉△6七金▲7九玉で詰みません。

このような手を短い時間で判断できるかは、結局のところ直感が何かということで全然違ってきます。

1手正しい手が浮かばなかったため、読みを断念して詰ましにいかずに別の手を指すということもあります。

こういうのがあるのでやはり直感はかなり大事だと思っています。

△6九角成以下▲5八銀△3五桂▲5七玉△4七金▲同銀△同桂成▲6七玉△7六銀まで詰みです。

△6九角成以下▲5七玉△4七金▲6七玉△7六金まで詰みです。

最後は持ち駒は桂馬が余り金駒は目いっぱい使う形なので、金駒の枚数を正確にカウントするというのも大事です。

自分の場合は金駒の枚数のカウントの仕方がアバウトなところがあるので、後から見ると1枚足らなかったということもあり、頭の中で整理できていないと踏み込めないところがあります。

盤上の駒の配置が数手先にどうなって持ち駒が足りているかどうかというのが、局面が複雑になればなるほど難易度が高くなり間違えやすくなります。

やはりそういう意味もあって、頭の中で考えるという作業は地味でも日頃からやっておいた方がいいみたいです。

厳しい寄せで即詰みにするのが参考になった1局でした。

△5四角の桂頭攻めの展開

上図は、先後逆で角換わりから先手右玉の展開で、▲2六歩と突いた局面。ソフトの評価値-49で互角。

右玉に対してどのように駒組みするかという作戦の分かれ目の形ですが、自分は地下鉄飛車を目指すような駒組みをすることが多いです。

実戦は△4三金左▲6六歩△3二玉▲6七銀で、ソフトの評価値+66で互角。

この手順は△4三金左~△3二玉の駒組みです。

ここから△7三桂~△2二銀として、以下飛車を1段飛車にして△3三桂~△1二香~△1一飛の地下鉄飛車から△1五歩と戦いを起こす形です。

△4三金左~△3二玉~△2二銀は主に昭和の時代によく指された手で、令和の時代でもたまに見られます。

どちらかというとバランス型に近い駒組みなので現代調に沿っているとも言えそうですが、ソフトはこの駒組みをあまり評価していないのかソフトの候補手にあがってきません。

手数がかかるのと、相手の駒組みによっては効果が薄いなどが理由かもしれません。

右玉には地下鉄飛車は有効ですが、相手の駒組みが玉と飛車が離れている場合は効果が薄いことが多いです。

先手の玉は▲4八玉型ですが、後手が地下鉄飛車模様にすると▲5九玉~▲6八玉と玉を移動するかもしれません。

▲6七銀に実戦は△2二銀だったのですが、ここは△8五歩以下▲7七桂△8六歩▲同歩△同飛▲4五歩で、ソフトの評価値-29で互角。

△2二銀というのは壁銀なので、地下鉄飛車を目指せない形ならあまいいい形ではありません。

そのような意味で△2二銀と指すのは条件がよくないと指しにくいようです。

最初の局面図での△4三金左では△8五歩がありました。

△8五歩▲6六歩△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛▲6七銀△3一玉▲7七桂△7三桂▲8九飛△5四角で、ソフトの評価値-33で互角。

この手順は△8五歩と伸ばしてから8筋の歩の交換を目指す手です。

自分はこの筋の歩の交換を対右玉で保留気味に指すことが多いのですが、ソフトは比較的早く歩の交換を目指すようです。

後手の玉は△3一玉と深く囲う形で、場合によっては△2二玉と入城することもありそうです。

先手は▲7七桂~▲8九飛として逆に8筋からプレッシャーをかける指し方ですが、△5四角が興味深いです。

△5四角はこの戦型でよく出る手で、7六の地点と3六の地点を狙う角で歩を使って相手の桂頭を攻める手です。

狙いが2つあるのが特徴ですが、△5四角は追われやすい角なので利きが1つになる可能性もあります。

△5四角に▲5六歩なら△7五歩▲6五歩△7六歩▲同銀△6五桂▲同桂△同歩▲7七金で、ソフトの評価値-157で互角。

この手順は▲5六歩に△7五歩として先手は桂頭の受けがないのかと思いがちですが▲6五歩とする手があり、△同歩なら▲5五角で飛車のコビンを狙われて後手も嫌な形です。

▲5五角は△7二飛と受けてそれ以上手がないようでも、先手に歩が入ると▲6四歩で後手の銀が取られるので意外とうるさいです。

よって▲6五歩には△7六歩と形を決めて、▲同銀に△6五桂からの桂馬の交換になります。

後手としては盤上に角を使ったので桂馬のただ取りが理想ですが、相手もいることで簡単にはいきません。

桂馬の交換をしてから次に△6六桂の金の両取りが狙いですが、▲7七金と上がっていい勝負のようです。

△5四角以下▲5六銀左△7六角▲6七金右△4三角▲6五歩△同歩▲5五角△8三飛▲4五歩△5四歩▲4四角で、ソフトの評価値+54で互角。

この手順は△5四角に▲5六銀左と7六の地点の利きを外すのが意表の手で、△7六角とただで歩を取りますが▲6七金右と今度は角を目標に動いてきます。

以下△4三角に▲6五歩~▲5五角~▲4五歩が意外とうるさいです。

形勢は互角のようですが、後手の角が今度は少し使いづらい形なのでこれも難しいです。

△5四角と打っても手を続けるのは大変ですが、平手の将棋だと相手もいるのでやむを得ない感じです。

△5四角の桂頭攻めの展開が参考になった1局でした。

玉を下段に落とす筋で詰ます

上図は、後手横歩取り△2三歩型からの進展で▲5二金と香車を取った手に6二の玉を△7二玉と逃げた局面。ソフトの評価値+99985で先手勝勢。

▲5二金に△同玉なら▲4二飛△5三玉▲5一龍まで詰みなので△7二玉と逃げました。

終局までもう少しという局面ですが、ソフトで999・・と表示される場合は即詰みがあることが多いです。

この局面は色々な詰まし方があったのですが、一番分かりやすいのは▲7三飛△同桂▲7一龍△同玉▲6二銀△8二玉▲8四香△9二玉▲8二香成△同玉▲7三銀成△9二玉▲8四桂△8一玉▲7二成銀まで詰みでした。

この手順は▲7三飛と捨てるのは勇気がいるのですが、△同桂に▲7一龍~▲6二銀が寄せの形で、△8一玉には▲8四香と離して打って△9二玉に▲8二香成が明快でした。

先手は飛車2枚を捨てる形なので決断の手順ですが、▲8二香成まで見えたら▲7三銀成以下は並べ詰みです。

実戦は△7二玉以下▲7一龍△同玉▲6二銀△8二玉▲8四香△8三銀で、ソフトの評価値+99990で先手勝勢。

この手順は▲7一龍~▲6二銀と王手をする手ですが、まず▲6二銀では▲7三香と打った方が明快でした。

▲7三香に△8二玉なら▲8四香△8三歩▲7二飛で詰みです。

よって▲7三香に△同桂としますが、そこで▲6二銀と打って△8一玉に▲8二飛△同玉▲7三銀成△9二玉▲8四桂△8一玉▲7二成銀まで詰みでした。

この手順は先に▲7三香と打って△同桂とさせることで、将来7三の桂馬を取ることができると詰み形になりやすいということです。

下から追って詰ますのでなく、上から駒を取って玉を下段に落とす方が詰ましやすかったです。

なお実戦の手順の▲6二銀~▲8四香も決して悪い手ではなかったようで、これも詰みがありました。

▲8四香△8三銀以下▲9四桂△同歩▲8三香成△同玉▲8四香△同玉▲7三銀打△同桂▲同銀不成△9五玉▲9六飛で詰みでした。

後手が△8三銀と打った場合は▲9四桂と打って9四の地点を守りの駒で封鎖してから▲8三香成~▲8四香~▲7三銀打が明快でした。

なおこの手順は後手が△8三銀と金駒を打ったので詰ますことが可能で、△8三銀で△8三歩なら▲7一銀不成△同玉▲7三香△同桂▲6一飛△8二玉▲6二飛成△7二香▲7三桂成△9二玉▲7二龍まで詰みです。

なお実戦は△8三銀以下▲7一銀不成△同玉▲6一飛△8二玉▲8三香成△同玉▲8一飛成△8二歩で、ソフトの評価値+99977で先手勝勢。

この手順は△8三銀以下▲7一銀不成~▲6一飛と下から玉を追う手です。

下から追って上に上げるのは普通は詰ましにくいのでしたくはなかったのですが、実戦の手順以外が思いつかなかったので仕方なく指した感じです。

▲8一飛成に△8二歩と打った局面が最後のチャンスだったようで、ここも即詰みがありました。

△8二歩以下▲9五桂△8四玉▲8二龍△9五玉▲9六銀△8六玉▲7三桂成△7七玉▲8七龍△6八玉▲8八龍△7八香▲7九銀△6七玉▲7八龍△6六玉▲6七香△5七玉▲5八龍まで詰みです。

この手順は▲9五桂のただ捨てですが、△8四玉と逃げた場合で以下▲8二龍~▲9六銀と追う形で普通は駒不足で詰まないのですが、8八に銀が落ちているので▲8八龍とする筋で詰みでした。

なお▲9五桂に△同歩なら▲8四香△同玉▲8二龍△8三銀▲7三龍△9四玉▲9三桂成△同玉▲8四銀△9四玉▲8三龍まで詰みです。

この手順は▲9五桂に△同歩とすると9五の地点に守りの駒で封鎖させる狙いで、以下▲8四香~▲8二龍と迫ります。

△8三銀に▲7三龍~▲9三桂成が少し見えにくいですが、以下▲8四銀からは詰みでした。

これらの手順を見ると玉は下段に落とすほど詰み筋が分かりやすいのに対して、上部に逃げて下から追う形は詰み手順の難易度が高くなります。

そのような意味で、早い段階で玉を下段に落として詰ますのを意識した方がよかったです。

なお、実戦は△8二歩に▲9五桂が見えず即詰みを発見できませんでしたので、やはり終盤力は大事だったようです。

玉を下段に落とす筋で詰ますのが参考になった1局でした。

駒を繰り替えて手を作る

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△2四同角と歩を取った局面。ソフトの評価値+368で先手有利。

後手が2筋の歩の交換をした形で、いつでも△7九角成の筋があるため先手も油断できません。

2八の飛車には3七の角がひもをついているので条件はいいのですが、ちょっとした形の違いで成立することもありそうです。

ソフトの評価値は先手有利になっていますが、対局中は互角だと思っていました。

△7九角成の筋はぎりぎりだいじょうぶかと思っていましたが、次の指し手がよく分かりませんでした。

実戦は▲5五歩△4三銀▲1八香で、ソフトの評価値-17で互角。

この手順の▲5五歩はたまに出る手で銀取りなので一時的には気持ちがいいのですが、△4三銀の後の手がまた難しいです。

▲1八香は手待ちですが、△3三桂と跳ねられるとまた指し手が難しいです。

先手から動く形になりづらく、駒を繰り替えるようなことになると思いますが、全く指し手の構想が浮かびません。

ただし、駒を繰り替えるなら何か狙いをもって組み替える必要があります。

▲5五歩では▲3五歩がありました。

▲3五歩△同歩▲5九角で、ソフトの評価値+406で先手有利。

この手順の▲3五歩ですが△同角は▲2二飛成があるので△同歩が自然です。

次に△3六歩と角を攻める手があるのでお手伝いのように思えるのですが、そこで▲5九角と先に引くのが驚きました。

1歩損をして角が逃げて相手の手番になるということですが、これで先手が指せるという判断がすごいです。

▲5九角に△3六歩なら▲6八角△2三歩▲2四角△同歩▲4四角△3七歩成▲2二角成△2八と▲5五歩で、ソフトの評価値+1208で先手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、△3六歩はどこかのタイミングで△3七歩成~△3六歩でと金作りを狙う手です。

△3六歩には▲6八角がうまく、これで角が直通する形です。

▲6八角に△同角成は▲2二飛成がありますので△2三歩と受けましたが、▲2四角~▲4四角が厳しいです。

▲4四角に△3三角と合わせるのは▲同角成△同桂▲4四角△2三飛▲3四歩△2五桂▲5五歩△3七歩成▲5四歩△同金▲1一角成△2八と▲3三歩成で、ソフトの評価値+1269で先手優勢。

この手順は▲4四角と再度角を打つのがよくある手筋で、△5一角と受けても▲3四歩があります。

後手は△2三飛から軽く受ける形も、▲5五歩から歩を伸ばす手が有効で先手優勢のようです。

▲5九角に△2三歩なら▲6五歩△3三角▲6四歩△同金▲7七角△同角成▲同金寄△6五桂▲6七金寄△6六歩▲6八金引で、ソフトの評価値+949で先手優勢。

この手順の△2三歩はやや冴えない感じもしますが、後手の2四の角が負担なので先受けの手です。

これには▲6五歩と今度は6筋の歩を突くのが急所で、△同歩なら▲7七角という狙いです。

▲6五歩に△3三角も先受けの手ですが、▲6四歩の取り込みから▲7七角で角交換を狙うのがうまいです。

先手は5九の角が捌ける形で理想的です。

角交換の△7七同角成には色々な取り方がありますが▲同金寄がいいようで、△6五桂▲6七金寄△6六歩▲6八金引の手の流れは部分的には後手は気持ちがいいのですが、意外とこの後は後手の手が難しいようです。

▲5九角というのは▲6八角とか▲7七角を睨んだ角の活用方法で、その場合には3筋の歩を切っておくと将来△3三桂の形には▲3四歩が厳しいです。

これらは数手先を見越した指し方のようです。

また▲3五歩以外には▲6八金引もあったようです。ソフトの評価値+357で先手有利。

▲6八金引以下△2三飛▲5五歩△4三銀▲4八角△3三桂▲5七角△2五歩▲2四角△同飛▲5一角で、ソフトの評価値+482で先手有利。

この手順は▲6八金引は、後手がどこかのタイミングで△同角成としても金駒はすべての駒が連結しているので、それ以上金駒がただで取られることはありません。

以下先手は3七の角を▲4八角~▲5七角とぶつける手があり、これも先手が指せているようです。

駒を繰り替えて手を作るのが参考になった1局でした。

やや苦しいときの指し方

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△4四銀と5五の銀が引いた局面。ソフトの評価値+31で互角。

後手が5筋の歩の交換をして△4四銀とした展開です。

この局面に似た形は平成の頃に一時期指されていたのですが、本局はそのような形になりました。

先手は▲8六歩と▲9六歩と突いているのが少し当時と違う印象ですが、ここから先手がどう指すかという形です。

本局は序盤からずるずると居飛車が悪くなっていいところがなかったので、後で序盤の3つについてメモ程度に調べてみました。

まず驚いたのが最初の局面図の評価値ですが+31だったので、こんなに居飛車が少ないのかと思いました。

居飛車対振り飛車は序盤の評価値が居飛車側に傾くことが多いのですが、+100位はあるのかと思っていました。

将棋の勝ち負けから見ると序盤の評価値は大したことはないレベルですが、できれば少し指しやすい局面にして有利から優勢そして勝勢という流れにもっていきたいです。

実戦は△4四銀に▲4六歩△同歩▲同銀△4五歩▲5七銀で、ソフトの評価値±0で互角。

この手順は4筋の歩の交換で当時の将棋の本などにもあったと記憶していたのですが、ソフトは全くこの手を評価していないのが意外でした。

1歩を持ち駒にしてほかのところでその歩を使うことができるので、そこそこ価値があるのかと思っていましたが、先手は4筋が逆に薄くなったので後手はそれを逆用することを狙います。

▲5七銀以下△5五歩▲2四歩△同角で、ソフトの評価値±0で互角。

この手順は5筋から歩を合わせる形で、先手は4七に歩がいないのでどこかで△4六歩と伸ばされるのがプレッシャーになります。

先手は自ら4筋を薄くしているので、4筋の歩の交換は面白くないということだと思います。

▲4六歩では▲1六歩をソフトは推奨していました。ソフトの評価値+31で互角。

2つ目の局面図は先手が▲2四歩の突き捨てに△同歩とした局面。ソフトの評価値+115で互角。

この局面ではソフトは△2四同角を推奨していたのですが、△2四同歩も自然な手です。

実戦は△2四同歩以下▲7五歩△同歩▲5五歩△同銀で、ソフトの評価値-78で互角。

まずこの手順の▲7五歩は7筋の歩を突き捨ててどこかで▲7四歩という手を含みにしたのですが、あまりいい手ではなかったようです。

また▲5五歩とした手も△同銀で後手の銀が中央に働いてきたので、これもまずかったようです。

▲7五歩で▲3七桂ならソフトの評価値+115で互角。

▲5五歩でも▲3七桂と跳ねて勝負すべきだったようです。

3つ目の局面図は▲3四歩と歩を取った手に△4四角と3三の角が逃げた手で、ソフトの評価値-192で互角。

後手は中央から6筋にかけての圧力があり、先手はそれをうまくいなせるかという形になりました。

このあたりは先手が少し苦しいのですが、先手がどうやって頑張るかという形です。

実戦は▲7四歩△同金▲2四飛△6六歩▲7七金△6五桂で、ソフトの評価値-534で後手有利。

この手順は▲7四歩△同金と形を崩してから▲2四飛と飛車の活用をしたのですが、この展開はまずかったようです。

自分は苦しいなりに仕方ないかなどと思っていたのですが、先手は6筋と7筋から攻められて苦しいです。

▲7四歩では▲3三歩成△同角▲5六歩△6六銀▲7七金で、ソフトの評価値-346で後手有利。

この指し方は全く浮かばなかったのですが、まず▲3三歩成△同角はいくら考えても浮かびません。

歩を渡してさらに将来▲2四飛も消えたのですが、4四の角が5三の地点の受けに利いているのでそれをずらしたとしか思えないです。

△3三同角に▲5六歩と自陣の傷を消す手ですが、△6六銀に▲7七金と寄って受けるのがなかなか見えないです。

先手は6筋が苦しいのでそこをどれだけ辛抱できるかという形ですが、6筋の歩を伸ばされないように受けてチャンスを待つということのようです。

各々の局面図は本当はもう少し深く掘り下げた方がいいのでしょうが、今回はメモ的な意味でまとめました。

やや苦しいときの指し方が参考になった1局でした。

少し指しにくい変化手順

上図は、後手横歩取り△3三角型からの進展で△7六飛と歩を取った局面。ソフトの評価値+319で先手有利。

自分はほとんど振り飛車は指さず居飛車が多いのですが、最近の将棋で意識していることは居飛車でも色々な戦型に慣れた方がいいということです。

居飛車でもどうしても好きな戦法になるのは仕方ないですが、相手が急戦模様できたらできるだけその戦型で対抗しようと思っています。

あまり見たことがないような局面だとどこが急所か分かりにくいので、少しでも実戦で考えて慣れておいた方がいいということです。

後手が△7六飛と横歩を取った局面ですが、自分の感覚だとアマの大会だとまず出てこないような戦型です。

大会で横歩取りの先手をもって指すのはかなりの少数派で、指し慣れていない形を持ち時間の短い大会で指すというのはリスクが高すぎるし、受け損なって勝負ところがなくなって負けるというのもよくありそうな戦型なので指す気がしないということです。

逆に言うと、大会でない将棋で横歩取りを指されるのは経験値を増やす上では最適だと思います。

実戦は▲7七桂△2三銀▲8四飛△8二歩▲8三歩△7二金▲8二歩成△同銀▲4五桂で、ソフトの評価値+662で先手有利。

この手順は▲7七桂と角交換を拒否する形で、先手は将来2枚の桂馬が中央に活躍できればいいなというイメージです。

最後の▲4五桂で先手が少し指せているようです。

▲7七桂に後手は△2三銀でなく△4四角として、▲8四飛を防ぐと同時に▲4五桂としても角取りにならないという手が有力でした。

対局中は▲7七桂は有力な手だと思っていたのですが、ソフトの候補手に上がっておらず、この戦型でよく出る▲7七角について調べてみます。

▲7七角△同角成▲同桂△5五角▲4五桂で、ソフトの評価値+399で先手有利。

この▲7七角ですが、自分の感覚だと少し指しづらい手だと思っていました。

なぜ指しづらいかと言うと、△同角成▲同桂に△5五角が目につきそれに対抗する手段を用意していないと指せないからです。

なお△7七同角成に▲同金もありますが、金が3段目に上がるのは基本的にあまりいい形ではないので指しにくいです。

金が3段目に上がるのは相手の飛車が狭い形のようなときの接近戦に有効なのですが、大駒が交換されて飛車の可動域が広い場合には金が上ずって隙ができやすいからです。

よって▲7七同桂と取りますが、△5五角には▲4五桂と跳ねて勝負するしかありません。

▲4五桂以下△7七角成▲同金△同飛成▲5三桂成△同玉▲3二飛成△7九龍▲2二龍△6八金▲4八玉△4五桂▲3一角で、ソフトの評価値+99980で先手勝勢。

この手順は、お互いに受けに回らず攻めの展開のみなので参考にならないかもしれません。

普通は玉が危険だと判断したら受けに回りますが、それでも攻めにくることがあるのがこの戦型の怖いところです。

気持ちが攻めに回ったらいまさら受けても仕方ないとか、攻めが最大の防御などの考えもあり少し無理っぽくても攻めて勝負するというケースがあります。

無理っぽく攻めてきてそれに対抗するのも将棋の難しいところで、ここで間違うと相手の手が通ったということになります。

△4五桂は次に△3七銀の詰めろなので、先手は相手玉を詰ますか受けに回るかのどちらかです。

▲3一角以下△5四玉▲5五金△同玉▲5六銀△5四玉▲2四龍△4四歩▲6五角で詰みです。

この手順だけ見ると1本道の場合は先手が勝つということになるのですが、まず▲5五金が少し指しづらいです。

金はとどめに使えという格言があるように、持ち駒の金は最後に使う方が詰ましやすいということですが、▲5五金で▲5五銀は△6五玉で少し詰まし方が複雑になります。

▲5五銀△6五玉▲5四角△5五玉▲5六歩△4四玉▲2四龍△3四歩△5五金まで詰みです。

また途中の▲2四龍と王手する手は自分の感覚だと少し見つけづらく、自分は盤上の大駒を動かして詰ますというのが詰将棋でも浮かびにくいです。

そこは意識して盤上を見るようにしています。

少し指しにくい変化手順が参考になった1局でした。

形を崩してから飛車を打ち込む

上図は、後手横歩取り△3三角型からの進展で△6二金と上がった局面。ソフトの評価値+

先手が▲3五角と打って5三の地点に駒を足して攻めてきた手に、6一の金が△6二金と上がりました。

▲3五角では▲8三角と打つ方がよかったようで、以下△7二銀▲5三桂右成△同銀▲同桂成△同角▲8二飛で、ソフトの評価値+386で先手有利でした。

実戦の▲3五角はやや狙いが単調だったようで、ソフトの候補手にも上がっていませんでした。

また後手の△6二金も自然な受けだと思っていたのですが、この手もソフトの候補手に上がっておらず△6二銀を推奨していました。

△6二銀は8筋の方が弱くなるので指しづらかったと思いますが、このあたりは人間の感覚と違っており読みが入っていないと△6二銀は指しづらいです。

△6二金と受けたことで▲3五角が働きのいい角になったようで、結果的に先手の手が有効になったようです。

5三の地点は攻めが角と桂馬2枚の計3に対して、後手の守りが玉と角と金と銀の計4なので数の上では先手の攻めは足りていません。

先手から攻めると5三の地点は2対4になるので、普通は先手が駒損になります。

ただし、5三以外の地点で後手に隙ができると、戦線拡大で先手の攻めが続くケースがあります。

こういうのがあるので、できるだけ盤面全体を見た方がいいです。

実戦は△6二金に▲8四飛△8二歩▲7四飛△7二銀で、ソフトの評価値+80で互角

この手順は先手の失敗で、敵陣に打つ飛車でなく生飛車なのでよほどいい条件でないと攻めの手の継続が難しくなります。

対局中は△7二銀を軽視しており、後手の陣形が立ち直った形なので先手の攻めは面白くなかったです。

▲8四飛では▲7二歩がありました。

▲7二歩△同銀▲5三桂右成△同銀▲同桂成△同角▲同角成△同金▲8二飛で、ソフトの評価値+1053で先手優勢。

この手順は▲7二歩と打つ手で、△同銀と取らせることで後手の守りが薄くなります。

▲7二歩に△同金なら▲5三桂右成△同銀▲同桂成△同角▲同角成△同玉▲5一飛で、ソフトの評価値+708で先手有利。

この手順は▲7二歩に△同金なら5三の地点の守りが後手は1枚弱くなるので、5三の地点で清算してから▲5一飛で先手有利です。

よって△7二同銀としたのですが、5三の地点で清算してから▲8二飛と打つのが△7二同銀とさせた効果です。

駒割りは銀と桂桂の交換ですが、▲8二飛と打ったときに後手の受け方が難しいです。

後手は5三の金が受けにあまり利いていないのが痛く、持ち駒に金駒がないので飛車にアタックするような受けがありません。

▲8二飛以下△9四角▲8五銀△6一玉▲9四銀△同歩▲7三歩△同桂▲8一角で、ソフトの評価値+1881で先手優勢。

この手順は△9四角と打って7二の銀にひもをつけると同時に△6六桂を狙った手ですが、▲8五銀とここに金駒を打って攻めるのが少し浮かびにくいです。

敵陣に金駒を打つのは考えやすいのですが、中段に金駒を打つと働きが決していいとは言えないので浮かびにくいというのがあります。

ただしこの場合は、▲8五銀に△8三角と逃げても▲8四歩で後手は収拾がつかないので▲8五銀は有効なようです。

▲8五銀に△6一玉と7二の銀にひもをつけましたが、▲9四銀△同歩に▲7三歩が細かい手です。

▲7三歩に△同銀は▲8一飛成や▲3二飛成があるのは分かりますが、△同桂と取った次の手が難しいです。

△同桂と取ると将来△6五桂~△5七桂成のような筋が生じますので、先手としても読みが必要です。

△7三同桂には▲8一角と打つのが△7三同桂とさせた効果で、8一の地点に空間をあけることで▲8一角と打てます。

▲8一角以下△7一銀▲7二角成△同銀▲8一銀で、ソフトの評価値+2084で先手勝勢。

この手順は△7一銀には▲7二角成~▲8一銀が決め手で、△8三角と受けても▲8四歩があります。

ややうまくいきすぎたところはありますが、狙いとしては分かりやすかったと思います。

形を崩してから飛車を打ち込むのが参考になった1局でした。